2014年2月2日日曜日

なんのための?

1000㎞余り続くヤクーツクへの道は 想像はしていましたがやはり物凄い道でした。暖冬とはいえ猛烈な寒さと悪路の連続、気の休める一瞬もない往復。戻って来て幹線道路に入りますと道路が天国みたい。昨年あれほど悪態をついたロシアの道路、立派なもんじゃない、文句言うほうがおかしい。それほどヤクーツクへの道は大変なものでした。Gちゃん良く頑張ったと思います。この歳でこの車、おそらく日本ではGちゃん只一人、大したもんや!ひとりほくそ笑んでもいたのです,が。。。。

ヤクーツクからの悪戦苦闘の帰路。途中で向うからエッチらオッチラ、自転車に乗る三人組に出会いました。どう見ても地元住人じゃない、サイクリスト?にしても、このこの時期に?日中でもマイナス40度近い気温、道路はツルツルの氷、自転車が走れるの?なんで自転車??。。。すぐにUターンして事情を聞きに行きました。

三人とも大学生、もうすでに10日間、野宿をしながらヤクーツクを目指しているという。そう言えばシラフやテント用のマットも背負ってる。夜間マイナス50度に耐えながらヤクーツクまで自転車で?どう考えてもあと20日は掛かる。どんな装備、どんな計画、どんな準備、そしてアンタらは何者?、、聞きたいことは山ほどあるけれど、それよりも何よりも、なんのための自転車なんやねん?!死んでしまうぞ。

お互いに時間が惜しい、それなりに壮絶な戦いの真っ最中、30分程度しか話せませんでしたが、、、アドレス交換であとはまた情報交換はすることになっていますが、、、「なんで自転車なんやねん?!」への異口同音の三人の答え。チャレンジマイセルフ。自分への挑戦。誰の為でもない、自分自身のために挑戦しているのです。元気に満ちあふれ輝くような目をした若者たちの 素晴らしい答えが印象的でした。

世界を旅していますとこういう若者に良く出会います。そして共通しているのは誰も知らない無名の普通の人ばかりということ。Gちゃんが初めて北極海まで走った時には、同じカナダホワイトホースからイヌビックまで、あの距離を、あの季節に、車でなく、歩いて挑戦している人が居ました。マスコミが伝える有名人だけじゃない、誰も知らないだけ、この世の中には物凄いことに挑戦してる もっと凄い人がたくさん居る。世界は広い。

自分の吸う酸素ボンベをポーターに運ばせて頂上に連れて行ってもらって、下山はヘリでカトマンズまで 仲間を残して一足先にハイさようなら、それで80歳世界記録て言うんかよ?!大名登山の三浦雄一郎さんを内心バカにしてたGちゃんでしたが この学生との出会い、アタマの芯をハンマーで殴られたほど自分自身が恥ずかしくなりました。

暖かい車の中、コーヒー飲みながらタバコくわえて、厳冬期のヤクーツク挑戦?走破?完走?、、、いったいそれがあんさん なんぼのもんですんや?!バカにしてる三浦はんと変わりませんやないか。車なら、カネを使ったらだれでも行けまっせ。。。いやぁ~勉強させてもらえました、若者に。こんなことくらいで有頂天になってたら これから先の道を間違える。

人は弱いものです。また同時に人は強いものです。たえず自分自身を見つめ対峙しながら、見果てぬ自分の夢を追い求めていきたいと思います。
たとえ失敗してもいい、行けなくてもいい、きっとこの若者たちも何かを得てまた故郷に帰って行くのでしょう、多幸と健康を祈ります。




追記;4月22日 東シベリア海(北極海)にあるチェルスキーという村に到達したとの連絡が入りました。ヤクーツクから更に2千キロ以上の距離、シベリアの北の端まで自転車で走ったことになります。

極寒のこの季節、世界には想像を絶する物凄い若者が居る。驚嘆に値します。
その経験はこれからの長い人生で必ず生きて来るでしょう。おめでとう。心からの祝福と豊かな人生を祈りたいと思います。