2013年1月18日金曜日

横断第一日

とつぜん現れた頼もしいガソリンスタンドで。
いやぁ助かりました。お世話になりました。

あんたロシア語、わたし大阪弁、二人でお互いにようしゃべりましたな。











いよいよ出発の朝を迎えました。これから始まる長い長い横断の旅。道路状況、天候、言葉の問題、、昨夜はベッドに入っても目が冴えてしまって なかなか眠れませんでした。

朝食を終え 真っ暗なホテルの外を眺めながらため息。これから先の不安や恐怖。このまま旅を止めてしまいたいほどの不安なのです。。。生き生きと荷物を積み込んで凍り道を爆走する そんなカッコ良さなんてカケラもありません。。何とかかんとか理由を付けてはノロノロと出発を遅らせて。

外気温はマイナス30度くらいだろうか。エンジンは一発で始動。十二分にアイドリングも完了、車内も暖かい。もう出発を遅らせる理由どこにもなし。大きく深呼吸してガキガキとタイヤ音を立ててるホテルパーキングを恐怖心につぶされそうになってスタート。

9時を回っているというのに真っ暗。ロシアは左側走行ですのでヘッドライトも右に射光方向を変えておかないと対向車に大迷惑。昨日変えておいたヘッドライトをアップにして、恐る恐る中心街に降りて行ったらラッシュのど真ん中。大きな街は入っていくより出る方がはるかにむつかしい。一方通行が多くってUターンもできず 初めて走るロシアの道、どう走ったらウラジオストックから出られるんじゃ!もう半泣き。とほほどころじゃおまへん。

!!!!ビックリしました。気が付けば 昨年できたばかりの あのデカい橋を渡ってる!
サンフランシスコの金門橋と一緒、ウラジオストックを象徴する、昨日だったかの掲載写真に載っている美しい橋、、記念に渡りたいけれど旅人のGちゃんには渡る道も分からず。なんのことはない、気が付いたらその憧れの橋を走ってるやおまへんか!運転しながら写真を撮る余裕はなかったけれど 渡れた偶然の幸運に感動。北を目指すならホントは渡る橋ではないんですがね。

渡り終えたら。これまた突然に!!!!ガソリン残量表示計、ランプ。残距離あと15~20キロ。屋根に積んでる50リットルのタンクは全部空のまま。。日本を出る時には車のガソリンもできるだけ減らすように、過去二回のバンクーバー送りで日本通通の何の根拠もない注文に飼い慣らされて。今回もほとんどガス欠に近い状態での入国。まずガソリンスタンド、そればかり考えてここまで走って来ただけに 赤いランプの表示は恐怖。

走っても走っても原野。歩行者なんて居るわけないし たまに路肩に停まってる車に聞いても英語はちんぷんかんぷん。やっと通じても今度はこちらがロシア語わからない。。。市内で入れなかった、入れられなかった その後悔。時間が掛かっても探すべきだった、後悔先に立たず。ほんと朝から連続して半泣き。これは致命傷になる。済んだから書けるけど。ガソリンがない、そんな当たり前以前の問題で。ドライブに慣れたはずのGちゃんしては大失態。速度は経済速度、下りはNの惰性、ライトも暖房も電気は全て止めて。どこまで続いてるのか分からない広漠と凍りついた大地。延々。

奇跡を見る思い。突然現れたガソリンスタンド。惰性で滑り込んで止まったら、安堵で座席に座ったまま。しばらくドァも開けられなかった。助かりました!!Gちゃんって 付いてる!!

車に35ℓ腹いっぱい、スペァ10ℓ3缶と20ℓ1缶、合計85リットル。結局パジェロには1リットルも残ってなかったことになる。2,700ルーブル、約8000円(ℓ当り@95円)。但しランクは日本でいうスーパー(高精製ガス)、、、一般用はもっと単価は安い。いやぁ助かった!

天使に見えました 頼もしく次々とタンクに満たしてくれるスタンド番の爺さんが。満タンのスペァタンクも全部ルーフに積み終わって、それでも地獄からの脱出に安堵の余韻もさめやらずに、へたり込んでるGちゃん。言葉は通じなくても見てたら態度で分かるみたい。天使が手招き。向こうの小屋へ来いという。オマエも異国で苦労したんやな、ゆっくり休んで行けという感じ。ああ、もうそうさしてもらいます。

ロシア人ってなに~~?!!親切で人懐っこさ。マグカップに熱いコーヒー、冷蔵庫から得体の知れない春巻きか卵焼きみたいなグニョグニュした食い物(あとで知った、ブリヌイというらしい、ロシア版クレープみたいなものか)、自家製だろう巨大なチーズを切り出して。遠慮じゃない、キモ悪いから要らんと言うてるつもりなんですがね、俺が勧める酒が飲めないのかという日本のあの習慣と一緒、飲んで喰わないと礼儀に反するのかなぁ。まぁ食え、食ってから言え、そう言ってるのは爺さんの態度で分かる。爺さんはロシア語、Gちゃんはもう英語も止めてドロドロの大阪弁。それがまたお互いに通じまんのや!あげくイヤイヤ喰わされたグニョグニョのクリープ一片。「なに?!コレうまい!!」「そやろ!言うてるやないか!もっと喰え!!」いやぁ~おいしかった!!爺さんの食べる分のなくなるほど すっかりごちそうになりました。
ホッと一息、狭い小屋で二人でガンガンとタバコを吸いながら、年寄り二人が自分勝手気ままに 相手が聞こうが聞くまいが。いやいや本当にお世話になりました。別れ際、お互いに抱擁しながら。すっかり元気になれました。

再び走り出した国道M60号線。猫にカツオ節。北朝鮮にミサイル。Gちゃんにガソリン。もうこうなったらこっちのもの。モスクワも手に入れたも同然。現金なものです、好きな音楽を聞きながら、びゅんびゅん飛び去っていく景色の輝き。パジェロも快走そのもの。

陽も高いけど3時になったら初日は止めると決めてた。凍てついた真っ白の荒野の中に現れたポプラか、何とか杉かの 高い樹の群生の中、見れば瀟洒なロッジ風の建物。急ストップ、Uターン。出てきたおばさんにスベトラちゃんの書いてくれた文字を指で指し示しながら。部屋?あるよ!一泊700ルーブル!げ?2000円?どんな部屋や?!ネットの出来ないのは気になったけど、GちゃんにはUSBモデムさまが居る、初めて使うけどネットは何とかしてくれはるやろう。あとはベッドさえあればいい。

失敗なのか正解なのか 今も良く分からないホテル。10畳ほどの広さ、セミダブルほどの薄ぺったいマットの敷いたベッドひとつ。一人用ソファが2つに椅子1つ。小机ひとつ。真空管テレビが1台に小さい洗面ボール。一応窓もカーテンもあるし絵画も掛かってる。便所は廊下を隔てた向かい側の共同。風呂シャワーなし。

食堂風の部屋が見えたので晩飯食えるか?とゼスチャーで聞けば食えるという。じゃお願いします。待ってたら6時からのはずが5時から食ってくれというので即了解。サラダ、トマト風スープ、ポテトの上にひき肉いっぱい、それに食パン2枚くらい。見た目めっちゃキモ悪る。ひと口。うん!これはいける!。。。あれほど慣れてるはずの米国、いつも出される量が多くてウンザリ 半分も食べられないことが多いのに、同じくらいの量。うちのコロ顔負け、お皿を洗わなくて済むほど綺麗に完食。受付のおばさんが作ったはずの素人料理。特にスープはお代わりが欲しかった。缶ビールも飲んで支払いはキャッシュ、締めて200ルーブル。げげげ、600円?!笑います安すぎて。木造2階建て。部屋数は20くらいあるのだろうか。Gちゃんが食事終えたとたん おばさん、怖いものが出るみたいに出迎えの車に飛び乗って森の彼方へ。朝ご飯は9時からよ~って言いながら。

え?管理人も居ない、どう見ても宿泊客はGちゃんひとり。ぐえええ~~この真っ暗になった建物のなかで一晩過ごすの?!ひょっとして これって失敗と違うんかな。夜中にギシギシと廊下を亡霊が部屋の外に立ってたりして。よくあるじゃないですか、英国の映画で出てくる、全くあれと一緒のシーン。静まり返ってそれは不気味。部屋でタバコが吸えないので真っ暗、照明もない廊下を歩いて入口のギギギ~って不気味な音を立てるドァ開けながら寒い外でタバコ。鎖でくくられたデカいイヌ一匹、こいつまで不気味な唸り声。こんなのアリかいな?!見知らぬ外国人をひとり建物に残して。明日朝になってGちゃんの首に血を吸った歯型がふたつ、冷たく白~い顔になって。美味くないぜ 年寄の干からびた血なんて。

留めは。部屋の鍵。掛からないのです。締めても外に開いてしまう。二枚あって、内側のは締めても中に開いてしまう。それもゆっくり、気が付いたら開いてる。つまり二枚の部屋のドァは開いたまま、冷たい廊下からヒンヤリした気持ち悪い風が。瀟洒なロッジ風の外観に誘われて入ってきたのに、どうりで車の一台も止まってなかったわけや。女性なんて絶対に一人では泊まれません。外灯もない真っ暗な建物。怖いというより危険。

気分転換。暗い部屋でUSBモデム初使用。これが、にっちもさっちも言うこと聞いてくれなくて。
パソコンに差し込んだら自動でインストールするからそれでおしまい、あとはどこでも自由にネットをお楽しみください。なんてスベトラのガキ ぬかしやがって。。。ピンコードを入れろ。地域コードを入れろ。何を入れろ。。次から次へと難題を吹っかけてくるやおまへんか!言うてるやろ、俺はロシア語なんてじぇんじぇん ハナから分からないし 分かる気もないんやから!

スベトラもスベトラ。ロシアの先生 青山師匠も師匠。こんな役立たずをよくも素人に推薦したな!
3か月使い放題6000円の感動、あれはいったい何やったんや。。。パソコンいじくりまわして。突然ガクンってパジェロがローギァに入ったみたいな変な音。ぬ?なぬ??あわててヤフーのホームページ。開きません。。。とって返して初期画面のGちゃんの自分のプログのショートカットをクリック。のろのろのろ。出てきたのは昨日のホテルの前の意気揚々の写真!繋がってますやおまへんか、ネットさまに!!!そかそか。今までの使ってたネット環境が良かっただけ、電波も弱いのろのろ運転を知らずに 今までの調子でビンビン飛ばしてた自分が悪いだけやった。

とたんに酒!ジャックダニエル たっぷり残ってる。お化けでも幽霊でも誰でも出て来い!一人じゃクチ寂しい、ロシア語はあかんぞ、日本語か英語、ちょっと面白い話でも一緒にしまへんか。人ってちょっとしたことで激変しちゃう、おもしろいね。

そうそう、書き忘れてました。泊まってる場所や名前?知りまへんてか、分かりまへん。ロシア、なんとかせい。道路標識も道案内も何もかも、バカたれが、みんな縄文字だけで表記、おかげでGちゃん 自分の泊まってる場所もわかりません。せめて他の国でみんなやってるように、遠慮気味にでも良いから小さくアルファベットで併記なんて、、淡い期待も初日にぶっ壊されてしまいました。とにかくウラジオストックからM60を北へ256キロの地点。ハバロフスクにはあと400か500キロの場所。。。アメリカやカナダによくあるレッドロックとかウイドーズミルとか、走ってる道端に表示されてる小さな地名表示板。どんな町かな、旦那が死んだんかな~、赤い岩があるんかな~なんて想像しながら走るのもまた一人旅には楽しいもの。ここロシア。とほほ、あれは相当な覚悟で挑まないと読めません縄文字は。ウラジオはなんとか。ハバロフスクХабаровскなんてGちゃんからすれば中東の粘土板に書かれた文字と一緒。不勉強な自分を呪うより こんな表示だけのロシア政府を呪います。

写真?かんにんしておくれやす。ごっそり持ち込んだ撮影機材。まだ開ける気にもなれまへん。どうでも良い写真用にとダッシュボードにパナのルミックス置いてあるだけ。。写真教室の藤本先生、私みたいな素人の生徒にいつも親切に、はいはい、一応は言わはるまま「P」で、RAWも一緒に。下手は先生の現像でなんとかまたあとで頼みます。

ほんじゃみなさまありがとうございました。何とかかんとか走れたシベリア第一目。血を吸われてプログもこれで終わりということがなかったら、また明日。それにしても不気味なほどのこの静けさはなになんじゃ!

酒が回って実に爽快な気分。よくぞ男に生まれてきたもんや。。。。というのは今日の立ち寄った何でも屋みたいな店の屋外トイレでオシッコ。つくずく。。。あの山盛りはガチガチに凍ってるから臭いはしませんのやがね。行くに行けない、遥か遠くから飛ばしながら、、よくぞ男に生まれてきたもんや。小学校3年の時に中学生のケンちゃんにも負けんかった。飛ばしっこはGちゃんの特技。
あははは、びろうな締めでごめんちゃい。